こういうのをリトマス試験紙って言うんでしょうね

田原総一朗氏がチベット問題でご自身の認識を書かれてるんですが、
チベット騒乱から北京五輪まで 日中ジャーナリストが徹底討論(nikkei BPnet)

1959年以降、3月10日には色々とデモは起きていた。このような騒乱になったのは今回が初めてだが、今回の騒乱は、少なくとも中国が狙ったものではない。鎮圧に失敗したという可能性はある。その辺りはよくわからない。

しかしとにかく日本の報道を見ると、「中国側に問題有り」という意見が強い。中には「福田康夫首相はまさかオリンピックに行かないだろうな」、「今の福田さんのやり方は中国に対する追従だ」などと書く新聞や雑誌も出てきた。これは偏向報道だと僕は思う。

「今回の騒乱は、少なくとも中国が狙ったものではない。鎮圧に失敗したという可能性はある。その辺りはよくわからない」とか、もう何を言っているのかよくわかりません。中国が仕掛けたかどうかなんていう話以前に、20人だろうが140人だろうが人が死んでる。チベットのみならずその周縁地域でも暴動がいまだに続いている、という事実は大々的に、しかも中国を非難する形で報じられるに値する。そして、その報道の大きさを嘆く前に、この暴動を生み出している背景を探るべきでしょう。
私も留学時代に中国から来た知り合いがいたのでわかりますが、彼らは客をもてなすのにとても丁寧です。パーティーや食事に人を招く、ということが彼らの見栄にもかかわっていて(だから中国人が「私が食事に招待する」といった場合、費用はすべて向こうが負担する)、実に何くれとなく世話をしてくれます。ニコニコとこちらの話を聞き、面白いジョークを飛ばしたりします。
で、こちらもすっかりいい気分になって中国の人々のファンになってしまう。人がいい日本の官僚や政治家、文化人や企業重役なんかは余計おだてに乗せられやすい。ですが、やっぱりこちらのビジネスは(政治家なら政治、ジャーナリストなら言論、学者なら学説)ビジネスとして、まったく別問題で考えないといけません。
日本の政治家や知識人の皆さんも中国と関わりがあって、いろいろと大変なんでしょうね。が、今回は国民の目があるのでご注意を。うっかり田原さんのような発言をすると、「あー、いろいろしがらみがあるんだろうなあ」とわかってしまいますよ。


ちなみに、フランスの小説「レ・ミゼラブル」に、バリケードを築いた学生たちの中に紛れ込む警察官(ジャベール)の描写がありますよね。チベットでも、暴徒の中に警官が紛れ込んで先導したとするなら、革命潰しのはなはだ古典的な手法といえそうです。