カリスマの資金流用疑惑

Wikipediaの創始者の一人であるジミー・ウェールズ氏に、Wikimedia財団の資金不正流用疑惑が持ち上がっているとか。

無料のオンライン百科事典Wikipediaの共同創設者Jimmy Wales氏は、過去およそ9カ月間に、総額1100ドルの旅行関連費用をWikimedia財団の資金から支出した。

 これは、同財団のエグゼクティブディレクターを務めるSue Gardner氏の話から明らかになったものだ。しかし同氏は、CNET TVとCNET News.comが米国時間3月6日に行ったインタビューの中でWales氏を擁護した。Gardner氏によると、Wales氏が財団の資金を私的に流用したとされる疑惑の出所は、「同氏に対して不満を抱いている財団の元従業員」だという。同氏は、その元従業員が自身のブログ上で根も葉もない噂を流したとしている。(CNET Japan



この記事でも触れられているウィキペディアの元スタッフ、ダニー・ウール氏が告発している疑惑について、
Allegations swirl around Wikipedia's Wales (San Francisco Chronicle)
が述べている。

Wool insinuated on his blog, All's Wool that Ends Wool, that Wales was careless with expenses and receipts, often asking the San Francisco foundation to pay for personal expenses. He said the expenditures piled up as Wales' celebrity grew, prompting the foundation to take away his credit card.

According to Wool, the foundation, which relies on donations from users, performed an audit in 2006, allegedly resulting in a settlement with Wales.

"Originally, it was carelessness," Wool said of Wales' financial record-keeping in a phone interview Tuesday. "But as things developed, it became more apparent and obvious that he was taking advantage of the foundation credit card. It was almost like his personal piggy bank."

ウール氏の話では、ウェールズ氏は金遣いに無頓着で、財団に肩代わりさせることもしばしばだったとか。彼が有名になるにつれて出費がかさんでいき、最初は単なる不注意だったんだけど終いには財団がpiggy bank=貯金箱同然になっていたという。たとえば、ウェールズ氏はステーキレストランで4人で飲み食いした費用1300ドルを財団に払わせたとか。


もちろん、これに対してウェールズ氏も財団も「不正行為は一切してない」と反論してる。財団幹部のフローレンス・ドゥヴォアール氏は「ステーキレストランでの費用肩代わりは断った」と話していて、取材に来たAP通信に対して「この話はたいした話じゃない」と説得を試みたという。
もっともAPが入手した情報では、ドゥヴォアール氏はこの飯代肩代わりの件でウェールズ氏に「しっかりして頂戴」といった内容のメールを送っていたとか。


で、ウェールズ氏の「スキャンダル」は金銭絡みだけじゃなくて、女性関係からも火の手があがっている。
FOXニュースなんかで政治コメンテーターをしているレイチェル・マースデン氏が彼と不倫関係にあったらしいんだけど、縁の切れ目にマースデン氏が二人が交わしたメールの内容をゴシップサイトに流したり、ウェールズ氏が部屋に置いてった衣服なんかをオークションに出したりしているらしい。
ここまでなら「へえ、そう」で済む話なんだけど、問題はウェールズ氏がWikipediaの最高幹部の一人だ、ということ。まだ恋愛関係にあった頃に、ウェールズ氏はマースデン氏のWikipediaの記事を都合よく書き換えた疑惑が浮上している。当人は彼女の記事を編集したことはあるけど、Wikipediaのポリシーに反するようなことは一切してない、と話している。




mixiなんかもそうなんだけど、ネットで享受できるサービスがあまりに自分に都合がいいと、私などはうっかり「彼らも人間であること」を忘れてしまう。それで、時々Wikipedia創始者のスキャンダルやらmixi利用規約改悪なんかを目にして、現実と自分の思い込みのギャップに驚かされる。
もちろん、広い目で見ればこうした出来事は私の不利益というより彼らの不利益になる方が大きい。信用の失墜→ユーザーの離反→サービスの衰退を招くわけで。ただ、私自身としても、世知辛い現実世界と同様に、ネットという不可視の情報フローの中でも自分の分析力や判断力を強く持つ必要がある、ということなんだろうなと思う。