クローニングに新しい可能性？

幹細胞じゃなくてもクローンができる？
Cloning without stem cells works （BBC）


この実験は、顆粒球（白血球細胞の完全に成熟し、分化したもの）からクローン胚を作り出せるかどうかを試みた。この結果、未成熟な幹細胞がたった４パーセントの成功率だったのに比べ、３５〜３９パーセントの確率で顆粒球から初期段階の胚を作り出すことに成功したという。


元来、クローニングを可能にする基盤としては胚性幹細胞（ES細胞）が有力視されてきた。クローニングが成功すれば、怪我や病気で失った体の部位を再生する治療法が可能になるなど、医療が飛躍的な進歩を遂げるとされる。
しかし、胚細胞は言うまでもなく、ヒトの基礎だ。それを医療目的で破壊し、搾取することには倫理的な抵抗が根強く、特にキリスト教の影響が色濃い欧州では大きな議論を巻き起こしてきた。


記事によれば、ES細胞でのクローン胚創生も高確率で成功した。が、もし胚細胞を使わず成熟細胞からクローン胚を作れるならば、倫理的な禁忌を回避して再生医療を進歩させる可能性が拓ける。

Stem cell expert Dr Stephen Minger, from King's College London, said: "The findings are quite surprising.

"Up until this [point], the conventional wisdom was that the less mature a cell, the more likely it is to be reprogrammed. This work suggests the contrary.

"Certain types of mature cells could be much easier to reprogramme than expected.

"But of course this has only been done in mice and there could be a big difference when it comes to humans. It would be interesting to see whether the same is found with human cells."

この実験がヒトでも成功し、方法論として一般化されるとなれば、生命倫理の議論にも大きな影響を及ぼしそうなんですが、さて、どうなりますか。