ホリエモンのネクタイ

ライブドア社長、堀江貴文被告の初公判で、堀江被告は黒いスーツと白シャツ姿で出廷。法廷ではネクタイを締めたという(デイリースポーツ)。


なんてことないニュースなんだけど、服装にこの人の性格が出ている気がする。
テレビの討論番組にもTシャツとジーパンで登場した堀江さんが、裁判ではスーツ姿。もちろん、裁判官の心証を配慮したのだろう。ところが彼の半端なところは、出廷中のノーネクタイ姿をカメラに収められていることだ。
もし裁判官たちがこの写真を見れば(その程度の世間知は持っててほしいんだけど)、あのネクタイの意味は「神妙」ではなく「法廷戦術の一つ」であるとはっきり知ることができる。つまりわざわざ締めたネクタイは無意味だ。だとすれば、最初からTシャツとジーパンで出廷したほうがベンチャー企業の自由人としてのスピリットを表現できて良かった。
つまり、ホリエモンは合理主義者っぽいんだけど、どっかで抜けてる。最大の利益を最短のプロセスで追い求めるのが彼の主義なんだろう。今回でいえば「ネクタイなんて締めたくない」から最短の出廷中の時間だけネクタイを締めた。ただ、それはさっきも言ったように無意味で、彼が最初に狙ったはずの「裁判官への心証の改善」にはまったく貢献してない(と思うよ。たまに小切手も見たことない裁判官いるらしいけど)。彼の合理主義は、彼の望んだ効果を台無しにしてしまう。


たぶん、これは彼の経営に対する姿勢についてもいえている。時価総額を追いかけて買収を繰り返し、金を集め続ける。野球、放送と矢継ぎ早に手を出して、一足飛びに政治の世界にまで飛び込む。その結果、今回問われているような粉飾会計はもちろん、もっと深刻なことに日本の保守的な階層の総すかんを食ってしまった。物凄くはっきりと、「出る杭は打たれ」てしまったのだ。
彼がこうも「せっかち」ではなく、ゆっくりと根回ししてじわじわと政治やそのほかの領域へ侵食していったなら、もしかしたらこんな程度の罪で検挙されることはなかったかもしれない。「金で買えないものはない」的な大胆な発言で反発も大きかった堀江さんだけど、あまり狡猾ではないこういった部分は、ちょっと憎めない