日本のホワイトバンド運動ってなにこれ

この運動が日本で盛んだった時期にいなかったのでよく知らなかったんだけど、
詐欺みたいじゃん


7月から9月までの販売分約300万本分と、年末までに販売可能とみられる約150万本分の利益が約5億4000万円に上ると想定

このうち、広告・イベント費や事務局の経費で約6700万円は既に消化。一方、マラリアエイズ結核対策を目的とした「世界基金」(本部・ジュネーブ)と、基金が関連する社会活動に約3400万円▽途上国での貧困撲滅運動に援助金約200万円を供出することが決まった

こういうサイトで事情を見たり、逆に擁護している意見をネットで読んだりするんだけれど(「募金とはいってない」とか)、詐欺に近いよ、これ。
主催者サイトでは、確かに「これは募金ではない」とは赤字で記されている(「有効利用されます」とあるけれど)。けれど、別項「活動の主旨」では、

小さな手に不似合いにもかかわらず、お小遣いを貯めてホワイトバンドを買ってくださったお子さんにはぜひこう言ってあげてください。
「あなたの行いがリーダーたちを動かして、500万人もの命を救ったんだよ」と。

とある。
まあまだ「想定」の段階だけれども、募金ではなく、しかも約5億のお金を国内で囲い込む運動に参加してなにが「500万人もの命を救った」ことになるんだ!?また、このホワイトバンド運動はアフリカをメインターゲットにしたものであるにもかかわらず、製造工場は中国にあるという。さらにこの工場は主催者側の設立したものである、という話も流れている。


そもそも、言葉の意味からいっても「募金をテーマにした運動ではない」ことは、「『利益』を主催者側が丸儲けしていい」理由にはならないだろう。「単に声を上げるムーブメント」だろうと、莫大な利益が出た以上経費だけを(これだって持ち出し・無償でやる覚悟すらないのかと呆れるが)受け取って過分な利益は全額貧困撲滅のプロジェクト(『運動』ではない!!)に供出するべきだろう。


「募金では貧困を救えない」とする意見も多い。このホワイトバンドのページで書かれているような意見もそうだろうし、現実主義的なものでは「アフリカでは募金が有効に使われない」、「お金を出すよりもお金を有効に使える教育自体に力を入れるべきだ」などなど。
おそらく、それらは正論だろう。けれど、いずれももっと平時からもっと一般的なフォーラムで論じられるべきものであって、こうした意見はすべて『今回の』日本でのホワイトバンド運動を擁護しうるものではない。「貧富の差は不公平だ」という絶対正義であっても、広尾の豪邸に忍び込んだ泥棒を擁護できないのと同じように。


実際のところ私は、イギリスでもホワイトバンドにあまり関心を抱かなかったし、むしろエディンバラでのデモに参加して矛盾を感じてやりきれなくなった(このデモでもホワイトバンドを売っていたけれど買わなかった。もともと私には、この手の運動にアレルギーがある。デモ自体には一期一会のイベント性があると見たので参加したけれど)。それでも、彼らはまだ「実効性のある」運動を目指してネルソン・マンデラなどの共感も得ていたわけで、そのイベントにはカトリック枢機卿なども参加していた。
この日本での運動は、ほかの国で同じ活動をしている人間が聞いたら誰しも憤慨するような内容だと思う。少なくとも、主催者側は団体への寄付ではなく、明確なイベント開催計画(とそれに伴う支出も公開して)や財団設立をめざすべきだ。もし、彼らが依然たかが1割弱の捨て銭以外のすべての利益を懐に入れるつもりで、もし「ホワイトバンド主催者たちにきちんと募金させる運動」とかあったら、とりあえず俺は参加する。そのときはちゃんと明朗会計でお願いしたい。