私はRIETIの回し者ではないのだけど、個人的に面白く感じる記事が多いのでついつい毎度メモしたくなってしまう。
なぜ中国における投資効率が悪いか―立ち遅れた金融改革―(関志雄、経済産業研究所、RIETI)

中国では資本市場の規模はまだ小さく、企業の資金調達は銀行に頼らざるを得ない。しかし、銀行部門の中枢になっている四大銀行は、融資先の大部分を占める国有企業と同様、コーポレートガバナンスが欠如したままとなっており、株主(抽象的存在としての「国家」)の利益を最大化するように行動しているわけではない。そもそも、貸出金利は、融資の対象となる国有企業を救済するために低水準に設定されており、資金の価格として資源を最も収益率の高いプロジェクトへと誘導する役割を果たしていない。また、融資の中から不良債権が発生しても、関係者が責任を取ることもほとんどない。(本文から)

 ちなみに中国の金融システムの不安定さについては、
China Enters 21st Century(英文、PDF、Deloitte Research)
 の20ページ以降でも、「おそらくは中国でビジネスをする上でもっとも大きなリスクである」と触れられている。
米国、中国の木製家具に反ダンピング関税YAHOO!
綿花補助金紛争で米敗訴 WTO、ブラジル主張認定(同)
 ……WTOは先進国の言いなりで、アメリカら先進国主導のグローバリゼーションを支える組織に過ぎないのだ、といった言われ方が一部でされているように思う。けれど、それは一部であたっており、一部で間違っている。それについてはおいおいまとめていきたいのだけれども、とりあえずこのように、WTOの裁定の場でアメリカに不利な決断がでることもある。
以下はまた違う話題、とりあえずメモ。
「海の憲法」批准見送り 米議会、保守派巻き返し(同)

海洋法に関する規範を網羅し、海の秩序を包括的に定めたとされる同条約については、米議会穏健派が批准へ向けた動きを進めていた。しかし国連や国際条約全般を「主権侵害」と嫌う保守派が巻き返した格好だ。
 海洋に関する重要な国際取り決めに、世界最大の海軍力を持つ超大国が加入しない事態が当面続くことになる。(ニュースから)

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EU憲法採択の詳しい解説は、無知な私が書くよりはきちんと日本で報道されているものを参照したほうがよいと思う。ただ、イギリスのブレア首相がめちゃくちゃ気の毒(自業自得とも言う)なポジションに立っていて、傍目で見てて笑っちゃうほど。
BRUSSELS BROKERS THE DEAL(英文、dailyrecord)
 ……ブレア首相は、対EUでは租税や社会保障、刑法などの分野での拒否権を強硬に堅持し、EUのトップを選ぶ欧州委員長選でベルギー出身のフェルホフシュタット氏を推さなかったことから、フランスなどの恨みを買っている。これは違うニュースで報じていたことだが、ヨーロッパのあるメディアは「妨害すんなら何でEUに参加したんだよ」と書き立てているほど。
さらに対イギリス国内的には、国民はおそろしく根強いEU不信を持っており、このブレア氏の行動に対しては反感が強い。イギリスでは今後、EU憲法批准の是非を問う国民投票を行うのだが、なにぶんにも地方選挙での歴史的大敗もあり、現在のブレア政権はお気の毒なことにかなり旗色が悪い。相当にスリリングな状況が待ち受けていそうだ。
欧州委員会筋:極めて危険な賭け(中島大輔様ホームページにある記事翻訳から)